付喪神

平安時代には集落のはずれにゴミ捨て場があって、ボロボロになって使えなくなった道具などが捨てられていました。

道具と言っても今の時代のように電化製品のようなものは当然ありませんので、ほとんどの素材が自然の木や植物、石、土などで出来たものであったために、たとえ無造作に捨てられるようなことがあってもやがては自然に還っていくのですから、環境には優しい仕組みだったのです。

金属を使った鍋のようなものがあっても錆びて自然に還ることに変わりはありませんでした。

店で買うようなことが無かった時代にはほとんどの道具が手作りで、しかも大切に長く使い続けるのですが、そういった道具たちも不要になってゴミ捨て場に捨てられますと、長い間使い続けてきたうちに魂が籠っていますので、妖怪になってしまい、夜になると動き出し、歌ったり踊ったの大騒ぎです。

そういった妖怪になってしまった道具たちは付喪神と言われ、いたずらをして人間に悪さをすることもあれば、神や仏にもなったのです。

八百万の神々が住む自然の中で暮らしていますと、こういった事が日常茶飯事であり、いろんな種類の付喪神が居たということです。